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第21章 かこのこ
あの後始まった準決勝。
シーソーゲームの末に勝ちを決めた試合展開に
応援席は興奮と安堵に包まれていた。
だけど俺自身は、心ここにあらずで、
試合の内容なんてまるで覚えてない。
いや、全く、1mmも覚えてない?て聞かれると
そういうわけじゃないんだけど…
やっぱりコートで駆け回るまーくんは
かっこよかった。とっても。
いつもと違う真剣な顔にドキドキした。
でも、さっきのモヤモヤが
ずーっと心に引っかかってる。
"友達?" "うん、同じクラスの"
ズルイよなぁ。俺だって人から聞かれたら
同じく答えちゃうはずなのに。
なんで恋人って言ってくれないの?って
そんなこと思っちゃうのは、完璧俺のエゴだ。
K「…にの?」
風間が心配そうに俺の顔を覗き込んできた。
K「ほんとに具合わるくない?顔色悪いぞ?」
N「ん、…あぁ、大丈夫。
ごめん、…ちょっとボーッとしてた。」
K「こんな声援の中ボーッとしてたの(笑)?
ちゃんと見てないと相葉くん後で拗ねるぞ?」
N「 ハハ…そうだな…。
ごめん、ちょっとトイレ行ってくる…」
別に、トイレに行きたかったわけじゃない。
またギャラリーに戻ってくるであろうまーくんに、
上手く笑える自信がなかったんだ。
とりあえず自販機で缶コーヒーを買い、
休憩スペースのベンチで、
ちびちびとそれを飲んで一息。
ブラックコーヒーで、
少しだけ頭がクリアになった気がする。
N「…ふぅ。 」