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第25章 ひとひら





#N




「にのちゃ〜ん」



広場のベンチに腰掛け、相葉くんの到着を

待っていると、ロータリーの一台の車から

聞いたことのある声が。




N「・・・あ!こんにちは。 」




「にのちゃん!そんなとこいたら
風邪引くから!後ろ乗りなー?」



相葉くんにそっくりな口調で俺を促す相葉ママ。



N「あ、すいません。」



いそいそと後部座席に乗り込むと、

バックミラーに映るニコニコ顔の相葉ママ。



N「・・・どうかしました?」



「今日も可愛いね、にのちゃん♡」



N「え、は?!か、可愛くないです! 」



「何いってんの〜、にのちゃん可愛いから
おばさん一発でみつけちゃったもん!」




雅紀遅いわね〜とかなんとか言って

ケラケラと笑ってる相葉ママ。



・・・血だな。DNAだな。






他愛もない会話をしながらまーくんを待ち、

後部座席から窓の外を眺めていると

駅から吐き出される人の群れ。




まーくん、この電車かな・・・




降りてくる人の群れに、

まーくんがいないかと目を凝らしていると、

運転席のお母さんの携帯が鳴った。




「あ、雅紀からLINEきた。
体育館に忘れ物したから取りに行ってくる、
だって!あの子ったら
にのちゃん待たせてなにしてんのかしら。」



今しがた届いたであろうLINEを読み上げ、

困り顔でこちらをみた相葉ママ。



N「ふふ、大丈夫です。待ちます。」



「ほんと抜けてるんだからー。
誰の子かしら。」



N「いや、お母さんのでしょ(笑) 」




アハハハ、とまーくんと同じ笑い方に安心する。





先程まで駅前に溢れかえっていた人の群れは

各々の帰路についたようでもうまばらだ。



「待たせることになるからにのちゃん連れて
先に家行ってて、だって。ほんとにもーぅ。
迎えに来いって行ったり先に行けって行ったり。
ほんと勝手なんだからーー!
にのちゃん、おばさんとふたりで悪いけど
おうちでお茶でもしてまちましょうか。」




N「あ、はい・・・。」



じゃ、車動かすわねーと、相葉ママが

外していたシートベルトを締める。





・・・まーくん、何してんだよ、もぅ。


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