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第5章 とくとく




N「どうしたの? 」

なるべく声が響かないようにヒソヒソ声で近づく。





A「ニノちゃんの誕生日、一番にお祝いしたくて。」




耳元でそういってにこっと笑った相葉くん。

夜中なのにまぶしいくらいにキラキラしてる。



俺、どうしちゃったんだろ、

なんだか心臓がぎゅっていたい。






A「これ、誕生日プレゼント」


そういって差し出されたのは

小さな紺色の紙袋。




N「あけてい?」


A「どーぞどーぞ♡」



紙袋のなかにはキャメル色の革でできた、

コインケースと犬のキーホルダー。



A「それね、俺が作ったの。おーちゃんに教わって。」



N「 え、すご!こんなの作れんの?!」


思わずでかい声がでちゃって、

シーーっ!と相葉くんが人差し指を立てた。





A「っていっても俺がやったのはおーちゃんの描いた型通りに切ったり縫ったりしただけなんだけどね。」



縫い目のステッチは所々歪んでいるし、

キーホルダーは犬なのになぜか眉毛付きだし。



A「これさ、にのちゃんに似てるでしょ?」



相葉くんがその長い指で犬のキーホルダーを撫で、

ふふふ、と得意気に微笑んだ。



N「 ・・・・」



やばい、なんだろ、俺今、



A「 あの・・・・ニノちゃん?」




たぶん真っ赤。顔あげらんない。




A「・・・・気に入らなかった?」



そんなことない。ブンブン顔を横に振って、

違うよって伝える。

なんか言葉を発したら、

もう泣いちゃいそうなの、俺。

さっきから心臓もずっといたいし。


N「 ・・・・・大事にする。」




絞り出せたのはそのひとことだけ。




A「ほんとに?よかった。夜中に呼び出してごめんね?おやすみ、ニノちゃん。」




そういってぽんぽんと

俺の頭を撫でた相葉くんの声は

優しさに満ちていて、暖かかった。








あ、ありがとうって言えなかったや・・・・




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