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第33章 時雨心地
迎えた週末
Tシャツ短パンで出ようとして母さんに全力で止められ
渋々シャツにチノパンという着なれない格好で
指定の場所に向かった。
稽古場、という響きからは程遠い
おしゃれなコンクリートのビルを前に
ほんとにここで会ってんのか?とメモを二度見する。
J「やぁ、来てくれたんだね」
ビルの前で棒立ちだった俺に後ろから声をかけてきたのは
まさしくリンカーンシアターで
俺の手を取ったあのおじさんだ。
N「こんにちは、…よろしくお願いします。 」
ペコっと頭を下げると、行こうかと肩に手を回して
そのまま建物の地下へと案内された。
地下の扉の小窓を覗き、
中の様子を確認したジャニーさんが、
君も見て、と言わんばかりに無言で中を指さす。
恐る恐るその小窓から中の様子を伺うと、
先日よりだいぶラフな格好で
汗を流すオカダさんがいた。
J「ついておいで」
その扉は開けず、奥に進むと、
控室のような部屋が2.3部屋あり、
そのうちのひとつにジャニーさんは黙って入っていった。
とりあえずついておいでと言われたので
俺もその部屋に入る。
J「マリウス、この子お願い」
ジャニーさんは控室内のテーブルに腰掛け、
奥にいるスタッフさん?に声をかけた。
マ「あ、ジャニーさんいま来たの??
あ、この子がこの前言ってた子ね!!オッケー」
N「?????」
ふたりの主語のない会話に呆然としていると、
マリウスと言われた彼はふんふんとご機嫌で
どうぞ♡?と鏡台前の椅子に座るように手招きした。
状況がよくわからないけども、
言われるがままにそこに腰掛けると、
バサぁーーーっと、
美容室で髪切るときに使うような布で包まれた。
N「え?!ちょっ、ちょっと・・・!!!」
マ「大丈夫大丈夫♡僕に任せて?」
いやいや何を!!!ジャニーさんを振り返れば
さも何事もないように
のんびりコーヒーなんか啜ってて、
君も飲む?みたいにこちらに首を傾げてる。
いやいやいや!!どうなる俺!!