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第35章 雨露霜雪
クリスマス公演は
12月24日の夜と
12月25日の昼、夜と3公演。
25日の夜は1番メインの公演とされていて、
マサさんとオカダさんがすでに出演するのが決まっている
「カズ!おはよう!」
稽古場の入り口で声をかけてきたのはケント。
K「クリスマス公演の発表、楽しみだな」
キラキラ王子様みたいな見た目のくせに
案外真面目でいいやつ。
潤くんをマイルドにした感じだなって思ってた。
N「どの公演にも選ばれなかったらショックだな〜…」
入所したてのころに先輩ばかりの稽古場で
オドオドキョロキョロ周りを見渡してた俺に
同年代で初めて声をかけてくれたのがケントだった。
後からほぼ同期だと聞かされたが、
先輩の懐に入るのが上手いケントは、
常に周りを人に囲まれていたから
てっきり先輩なんだと思っていた。
K「カズは選ばれるよ。
どっちかっていうと俺の方が不安。」
そういうけれど、周りの前評価的には
ケントが選ばれないはずなかった。
25日の夜公演も
あり得るんじゃないかという噂もあった。
顔が整ってるのはもちろんだけど、
ケントには華がある。
N「・・・んなわけ(笑)」
ご冗談を、と笑えば目を丸くしたケントが
お手上げのポーズをとると
やれやれ・・・と微笑んだ。
K「カズはもう少し自分の評価を
素直に聞き入れた方がいい。
歌声も演技も先輩たちのいってることは
お世辞じゃないぜ?」