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第35章 雨露霜雪
あーでもないこーでもないと言ってるうちに
稽古場にたどり着き、
空いてるスペースに腰を下ろす。
予定されている発表まで残すところ10分ほどとなり、
普段大人びて見える先輩たちも、
どこか浮き足立っているようだった。
マサ「はいおはよー、みんな揃ってるか??」
まるで先生かのようにマサさんが稽古場に
顔を出すと、みんな一斉にそちらに挨拶を返す。
その後ろからジャニーさんがのそのそと現れ
稽古場に用意された長テーブルに腰をかけ、
ホワイトボードに何かを書き始めた。
J「まずは、、24日の演目。
今年はゴーストをアレンジして
オリジナル脚本をやりたいと思っている。」
ゴースト・・・
ちゃんとした話は知らないなぁと思いつつ
ホワイトボードに書き込まれていく配役を眺める。
J「えー・・・まずは主役のモリー。ニノ」
N「・・・。ぇえ??!」
あまりにも唐突に自分の名前が呼ばれた。
ドキドキする間もないほどに
イッチバンはじめの発表に声も裏返る。
おおお!と男だらけの稽古場にどよめきが広がる中
パチパチと温かい拍手が俺に贈られる。
隣のケントが、ほらね?と言わんばかりに
男前なウィンクを投げてきた。
J「相手役のサムはケント。」
あーぁぁ…、と落胆したような声も聞こえる中
またもやパチパチと拍手が起きる。
みんなサム役やりたかったんだな、と
勝手に解釈していると
隣のケントがよろしくな、と笑顔で肩を抱いてきて
ああぁ!と、周りから悲鳴のようなの声が上がった。
・・・なんだ?