テキストサイズ

1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第56章 アタシも彼氏いないし…

「あぁ、でもこんなとこで弁当食ったらダメなんじゃないかな?持ち込みとかいけないんじゃなかったっけ?」

「わかんないように食べたらいいんじゃないの?オレ今腹減ってるし」

そう言って小さな弁当箱を開けてみた

こりゃ余計腹減りそうな弁当だな
これじゃ食った気しねぇぞ
中はサラダと小さい卵焼きにご飯が少ししか入っていない

「これ食って足りるの?」

そんだけ量の少ない弁当だった
アンタ、減量中のボクサーかっ!ってなぐらいな小さくてカロリーの低い弁当だ

「足りるよ、そんなにいっぱい食べないもん」

「で、これ誰が作ったの?」

「これ全部アタシが作ったんだよ。いつもはお母さんが作ってくれるんだけど、夏休みだからアタシが朝起きてお弁当作ったのよ」

成る程、言われてみれば卵焼きの形が少し変だ
まぁ料理なんてする機会も無いんだろな

「じゃあわからないように、いただきます…っていうか波多野トマトキライじゃなかったのかよ?」

サラダにはプチトマトがいくつか入っていた

「そうそう、アタシさぁ、中学の時、まともにトマト食べた事ないのよね~」

「だってトマトが出る度にオレにくれてたじゃん」

波多野とは中1から中3までクラスが一緒で、給食のメニューにトマトが出ると必ず僕にくれた

「でさぁ、アタシ高校に入ってお弁当にトマト入ってた時があって。今までは小野っちが食べてくれたけど、これからはそんな事出来ないじゃない?だからトマト食べるようになったけどトマトって美容にもいいんだってね。今はトマト食べる事多くなったよ」

屈託のない笑顔を浮かべていた

「お待たせしました、烏龍茶とアイスコーヒーです」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ