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1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第57章 1985年のトレンド

「んじゃ誰か好き人はいるのか?」

ちょっと様子を伺ってみよう

「え~、今?うーんよくわかんない」

困惑の表情で波多野が答えた

「何だよくわかんないってのは?」

僕は食い付き気味に聞いてみた
もしかして既に好きな人が…あぁ、やっぱそうだよな…そりゃ好きな人ぐらいはいるよなぁ~…

「えー、ただいいなぁって思う人はいるよ…小野っちはどうなのよ?」

やっぱりいるのか…淡い期待を抱いたオレがアホだった

「オレこの前誰かさんにフラれて、杉下は彼氏いるなんて言うからな。次から次へとそんな好きになるような相手なんていないよ」

杉下の件だってフラれたようなもんだ
ただ告白はしてないが、結果的にはフラれたからな
あぁ、また嫌な思い出が…

「そっかぁ…アタシ優子に遠慮してたからさ…」

て事は断ったのは波多野の本心じゃないのか?チャンス?これってチャンスなのか?

…いや待て、変な期待してると後でろくな事がない、うん

ましてや相手は波多野だからな
下手な考えはよせ!僕は自分に言い聞かせた

「ふーん、そうなんだ…」

二人とも会話が無くなり、無言で窓の外を見ていた
夏真っ盛り、外は陽炎のように暑さでアスファルトから熱気がユラユラと出ている
こんなクソ暑い日に外出するなんて、ブッ倒れちまう

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