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1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第62章 彼女がいるっていいよなぁ

「それだって高いだろ、パーソンズもケッコーな値段するじゃん」

「これ中学の時に買ってもらったヤツだよ。スカートは新しく買ったやつなんだけど」

「へー、でも波多野ってミーハーだよな」

「うるさいっ、もう電車くるから早く行こっ」

照れながら波多野は改札を入り足早に階段を上った

僕はその後を追うように階段を上る

「反対側から乗った方が座れるし楽だな」

いつもは満員電車になるホームに乗るのだが、今日は乗客の少ない反対側から乗った

「あぁ、涼しい!小野っちあそこ座ろう」

僕らはドアの近くの席に座った
乗客は数える程しかいなかった

「今日何時に起きたの?」

隣に座ってる波多野に聞いた

「ん~と7時ちょっと前に起きてお弁当作ってた。あ、小野っちが食べたい唐揚げとシャケとコンブと梅干しのおにぎり持ってきたよ」

楽しそうな顔でバッグの中にある弁当箱を見せてくれた

「あ、今日は大きいじゃん。しかも2つ持ってきたの?」

「うん、1つはおにぎりでもう1つはおかずが入ってるから」

「あー、どんなんか早く食べたいなぁ」

「まだ早いよ小野っち。朝食べてこなかったの?」

さっきモーニングを食べたばかりだが、波多野の作った弁当なら真っ先に食べてみたいと思った

「少し食べたけどね。まぁあっち着いてからゆっくり食べよう」

「うん!」

そういって波多野は僕の手を握った

あぁ、今オレデートしてる!
彼女がいるって何て素晴らしいんだろう!

そんな気持ちに浸りながら僕は手を握ったまま軽い眠気が襲われながらも幸せ気分でいた

ホント、単純だなぁ、僕は…

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