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1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第63章 あの…絶叫系無理っす…

ワクワクがとまらない波多野はそのアトラクションに乗るため列に並んだ

(一体何の罰ゲームなんだ?もう遊園地デートはいいや…オレの身体がもたない!)

自分で運転してスピードを出すのは大好きだ

しかし自分以外の操縦でスピードがかかったり重力を受けて風をモロに受けたりするのは今でも無理だ

しかし、カッコつけな15才の僕は無理だから乗れないなんて恥ずかしくて言えない

「何かイヤな予感がするなぁ…」

「えっ何で?楽しいじゃん。アタシこういうの大好き!」

僕らはその船の形をした乗り物の中に入り、係員が肩から落下防止装置バーを下ろし、肩と腹部をガッチリロックした

アトラクションに乗るにはこういう安全装置バーで身体をカバーするのが当たり前なのだが、この安全装置を装着すると余計に恐怖感が増す

そして船の形をしたゴンドラは最初はゆっくりと上下に動いた

「これ、ワクワクするね」

(お前、それしか言わないのかっ!オレはもうダメだ…)

徐々に激しい振り子のようにスピードが増した

「…」

僕は安全装置をガシッと力強く掴み、必死で上下の揺れに歯を食いしばって堪える

(早く終われ、もう帰りたい…)

そう願いながら視線は下に向き、とにかく全身を硬直しながら終わるのを待った

外の様子に目をやる余裕なんて全く無い

またこの時間がかなり長く感じる!
僕は全身に力を入れすぎて汗が物凄く身体中から吹き出た

(ようやく終わった…)

乗り物から出た瞬間、物凄い脱力感に襲われた

もう、イヤ…絶叫系の乗り物なんて嫌がらせにしか感じないっ!

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