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1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第66章 あの、夕飯食べに行こうよ

先程とは違って反対方向に行く電車だから乗客も少なく、僕と波多野が座れる場所はかなりあった

「小野っちここ座ろうよ」

波多野が先に座り、隣の空いている席をバンバンと叩きながら僕に座れと促した

波多野の隣に座った
なんかいい匂いがする

「あ、なんかいい匂い。何つけたの?」

波多野はバッグから当時人気のあった【Ban16】というデオドラントスプレーを取り出した

「暑かったでしょ?だから帰りにまたシュッシュッてスプレーしたの」

波多野の首筋から微香性の香りがした
その優しい香りに包まれ、僕はまた居眠りをした

「小野っち、次で降りるよ」

波多野の声で目が覚めた

っ!僕は波多野の肩にもたれ掛かって寝たいたのだ
おまけにヨダレを垂らしていた!

「あー、うん」

急いで肩に置いた頭を起こし、姿勢良く駅につくまで待っていた

そして扉が開き、僕らは手を繋いだまま地下鉄を降りた

「小野っちやっぱオモシロイ~、急にシャキッとなるんだもん(笑)」

そんなに変だったのか?僕は波多野の肩にもたれ掛かって寝ていたから恥ずかしくなっていた
しかもヨダレをたらしていたとは!あぁ~情けない!

「あぁ、ゴメン。寝てばっかで」

情けない姿で寝ていたんだからな…
あぁみっともねえ!

「小野っちアタシの肩寝やすかった?気持ち良く寝てるから起こしたら悪いなぁと思ってギリギリまで寝かせたんだよ」

(なんかみっともねぇな、オレ)

そう思ったらかなり恥ずかしくなってきた

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