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1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第66章 あの、夕飯食べに行こうよ

そして最寄りの駅に着き改札を抜けた

あぁ今日はもうこれでウチに帰るのか、まだちょっとだけいたいなぁ

「小野っち、今日はありがとう。また行こうね」

「うん」

そう言って僕らは反対方向に足を向けた

「あ、波多野…」

後ろから波多野を呼び止めた

「なぁに?」

くるっとこっちを向いた波多野は笑顔で聞いてきた

「あ、あの、もし良かったらだけど、これから飯食いに行かない?無理ならいいんだけど…」

外はすっかり陽が落ちて、日中の暑さはないが、夏独特の湿気のある熱帯夜だ

「う~ん、帰ってもご飯用意してるかなぁ」

少し考えてから

「ちょっとウチに連絡してくるね」
そう言って駅の脇にある電話ボックスに入った

僕は外で真っ暗になった空を仰いだ
(明日も暑いんだろうな…)

そんな事を思いながら

電話ボックスから波多野が出て来て開口一番

「今お母さんにご飯食べてくるからって言ったから、食べに行こう」

声を弾ませながら僕の手を握り、商店街にある中華レストランに入った
何かこのままバイバイするのはちょっと物足りないというか、今日1日波多野に世話になりっ離しだったから、せめて夕飯でもご馳走しようと、僕なりのお礼のつもりでもあった

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