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1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第75章 工業科のヤンキーが絡んでくるから

これでヤツの言うとおりにパシりになってやった

それでも後でガタガタ言ってきても、こっちで金払ったんだし、反論だって出来る
まぁ体裁を気にするヤンキーはそこまで言ってこないだろう

でも今の学校でこんな事をしたら僕はナイフとかで刺されただろうな…

それほど陰湿ではなく、同じ学校の生徒だし、何度も顔を合わせれば仕返しだとかそんな事はしない
まさか普通科のヤツに返り討ちにあったなんて知れ渡ったら、ヤツはダセーヤツ!と思われ、ソイツは一気に情けないヤツとレッテルを張られる

そんな場面を見られたくないし、知られたくもないからヤンキーはまずそんな事は言わない

でもこれがきっかけでそのヤンキーとは食堂で会う度に話すような関係になった

名前は覚えちゃいないが、最初は警戒しながらも僕に近づいてきて、コロッケパンとコーラの金を払おうとしたのだろう

僕は金は受け取らずに、
「なぁ金いらねえからタバコ一本くれよ。それでチャラにしよう」と言って
食後に工業科の校舎の裏でヤツが吸っていたタバコを一本もらい一服した

ヤツはまだ警戒していた

タバコを吸い終わり
「サンキュー」と言って僕は教室に戻った

僕からは何も仕掛けない

それからたまに食堂で顔を会わすと

「オレ、コーラ買いたいんだけど小銭ないんだよ。明日返すから貸してくんない?」
と言ってヤンキーから金を借りたこともあった

翌日にはコーラの代金とパンを買う金を利子代わりに渡した

ヤンキーはこの時点で僕に何もしてこない

後は食後にヤツからタバコを一本もらい、一服する

大した会話はしなかったが、別に話すこともあまりなかったし、ただタバコが吸いたかっただけの事だった

校内で絡まれたのはこれが唯一で、後は絡まれるような事はなかった

でも実は僕もケンカが弱かったので、僕よりタッパがあってガタイのいいヤンキーに絡まれたら、パシりやってただろうなぁ…

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