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1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第82章 つまんないから辞めま~す

先生に直接渡せばいいんだろうか?
いや、それだとかなり面倒だ、何で辞めるんだ?もう少し話し合おう、だとか言って簡単に受け取ってくれないだろう…

では誰に渡せばいいんだ?

そこら辺は全く考えてなかった…とにかく退学届けを書くことしか頭の中に無かったから、誰に渡せばいいなんて事は全く眼中に無かったのだから

困ったな…いっそ教室まで行って、机の上に退学届けの封書を置いて帰ろうか、いや、待てよ…
そうか、目の前に受付の事務員がいるじゃないか!

成る程、その人に渡せばいいんだな

僕は入り口の階段を上り、正面にある受付の窓を開け、事務のオバサンに声を掛けた

「あのー、すいません。えっと退学届けってここに出せばいいんすかね?」

こちらを向いた事務のオバサンは【えっ?】という表情をして、最初は何の事か解らなかったみたいだ

「あの~、これ退学届け…あ、オレ普通科一年A組の小野貴久と言います。
まぁ、中にその内容が書いてあるんで、後で先生にでも渡してください」

「え、えぇ?退学届けって…ちょっとそれは…うーん、辞めるって事、この学校を?」

オバサンがかなり慌てていた

「あ、ここじゃ無いんですか、退学届け出すのは?」

僕はさっさと退学届けを出して帰るつもりだった

「いや、そうじゃなくて…ちょっと待ってね…退学するって事はどこか他の学校に移るとかそういう予定なの?」

はぁ、何言ってんだこのオバサンは?

「いや、移るも何も…そこに書いてある通り、今日で退学します」

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