テキストサイズ

1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第83章 弟の身を案ずる姉

夕方、ウチに帰るとアネキとオフクロがえらい剣幕で怒鳴ってきた

「アンタ、何考えてんのよっ!勝手に退学届けなんて出して!先生困ってたわよ!」

何だ、やっぱりそう簡単に受理してくれなかったのか

「何が気に入らないの?何かイヤな事でもあったの?もしかしていじめられてるの?」

イジメ?そんな事しか思い浮かばないのか?尾崎豊でも聴いてちったぁ高校生の気分を理解しろってんだ!

「イジメられて辞める?んなアホな事があるか!あんなバカ学校に行ってもこの先ろくな事が無い、だから辞めたの」

「わかんないわよ!何が不満なの!ただつまんないだけで辞めるなんて絶対変よっ!」

アネキとは一歳しか年が離れてないけど、僕のような将来に不安を抱えた連中の事は解らないだろうか…

「ねぇ貴久、こんな事お父さんにバレたらまた殴られるわよ…お願いだから高校だけは最後まで通ってちょうだい」

「結局オヤジの顔色伺いかよ?イヤな事を3年間我慢したらその先に何か良いことが待ってるとでも思ってるのか?無いだろ、だから辞める、それだけだから」

「じゃあ、辞めてどうすると言うのよ…編入の件はこの前お父さんに反対されたでしょ?」

「バイトしながら大検の試験受けるよ」

「大検?」

「アンタ大検ってどれだけ大変なのか知ってるの?ちょっとやそっと頭が良いだけじゃ受からないのよ、解ってるの?」
アネキが物凄い剣幕で怒った

「やってみなきゃ解らないじゃん!」

「貴久…もうそんな回りくどい事しないで今の高校で通えばいいじゃない?アンタそんなに今の高校に行きたくないの?」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ