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1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第97章 あの女、ラリってるぞ

何だコイツ、笑いやがって、しかもテンションがかなり高い、コイツまともじゃねぇな

しかしそんな事はお構いなしに智美は矢継ぎ早に質問してくる

「二人は中学の頃どうだったの~?」

「付き合ってどのくらいになるの?」

「小野君は何処の高校に通ってるの~?」

「ねぇもうキスとかしたの~?」

なんなんだコイツは?

しかもコイツ、口を開ける度にボロボロの前歯が見えるし、ヤニで黄ばんでる

そして足元にはたくさんの吸殻が落ちていた

智美はメンソールのタバコを吸いフゥっと白く細い煙を吐き出した

まるで獲物を狙うが如く糸を吐き出す蜘蛛の様だ

その黒く塗られたマニキュアの指に挟んだタバコを吸い終わるとまた更に新しいタバコに火を点ける


(コイツこの年で相当なヘビースモーカー、いやチェーンスモーカーだな)

僕もタバコを吸ってる
だが、吸っても1日10本前後だった
なのにコイツは肺がんまっしぐらってな勢いであっという間に一箱吸い終わっていた…

異様なまでのテンションの高さにボロボロの歯…

ラリってやがるなコイツ

波多野は知ってるのか?

とにかくちょっとした事でゲラゲラと笑い、大声で話をしたり普通じゃない

(こういうヤツにシンナー止めろって言っても聞かないだろうな)

「でさぁ、でさぁ?」

智美は勝手に喋り、波多野はそれに相づちを打ち、僕はただその場にポツンといるだけだった

こんなヤツと一緒にいて警官にバッタリ会ったらこっちまで巻き沿い食らいそうだ、こりゃ早めに帰った方がいい

シンナーで頭やられたヤツの話しなんて聞きたかねえよ

智美は革ジャンのポケットに手を入れ、しきりにその手を鼻の方に当てて匂いを嗅いでるような仕草をしている

コイツ、やってやがるな!
ポケットの中に隠し持ってるはずだ

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