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1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第97章 あの女、ラリってるぞ

ここに警察が通りかかって職務質問されたらこっちまで巻き添え食らうぞ

「なぁ、どうでもいいけどポケットの中に入ってんだろ?何やってんだ、純トロ?アンパン?」

純トロとは、純度の高いトルエンの事で、アンパンとはシンナーの意味だ

「あれ~、わかっちゃたぁ?よくさぁ、駅前で売ってる人いるから試しに買ってみたらスッゴい気持ちよくなるんよね~、アッハッハッハッハ!」

ダメだ!この女相当ラリってる!

「ねぇ、智美どういう事?」

「見てわかんねーのかよ、ありゃ普通の状態じゃねぇよ!あの歯がボロボロなのもシンナーのやり過ぎだよ」

「智美、アンタまさかそんなのに手を出してたの?」

実際にラリってる人物を見るのが初めてなのだろう、波多野はまだ半信半疑な状態だ
だが、これは確実にラリってる
ハイな状態になり、ちょっとしたことで大袈裟に笑い、テンションがマックスに達している

「あのさぁ、今から駅前でまた買いに行くんだけどぉ、一緒に来る~?」

現在のドラッグ事情はよく知らない、だが当時は売人がオロナミンCやリポビタンDに入ったトルエンを売り捌いていた
詳しくは話せないけど、売人達は繁華街辺りでたむろして、あるポーズをする
そのポーズがトルエン売ってますよ、という意味だ

こりゃかなりヤバイ、隙を見て逃げよう!

「おい、コイツもうダメだ、こんなとこマッポ(警察)に見られたらこっちまでヤバくなる、逃げよう」

波多野は狼狽えるばかりだ
まさか同級生がラリってるだなんて信じられないのだろう

「…」

「じゃ、オレがテキトーに言うからさっさと帰ろう」

僕は智美に

「悪いけど、そういうのには付き合えないんだよ。止めろと言っても止めるつもりないんだろ?」

「だってさぁ、これやってるとすごーく気持ちいいんだもん~、もう止められないよ、だってスゴく気持ちいいんだよ~?」

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