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1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第101章 ラーメン屋での親子の会話

僕はオヤジのコップにビールを注いだ
「何だこりゃ泡だらけじゃないか!へったくそな注ぎ方だな」

オヤジが自分でビールを注ぎ直した

「ほら、飲めるんだろ?飲んでみろよ」

僕はオヤジに促されるままコップの中のビールを飲み干した

「あれ、タバコ忘れてきたな…貴久お前のタバコくれ」

(えっ!何で知ってんだ?)

「持ってるんだろ?お前のタバコ一本くれ」

僕はポケットからラークマイルドを出し、オヤジに渡した

「何だお前、洋モクなんて吸ってやがるのか、生意気なヤツだな」

オヤジがラークマイルドを口にくわえ、僕がライターで火を点けた

「何で知ってたんだよ」

「ん?」

「いや、何でオレがタバコ吸ってるって知ってたんだよ」

「当たり前だ、そんな事は!お前がタバコ吸ってるなんて見ればすぐにわかるんだよ、知らないとでも思っていたのか?」

(何でバレたんだ?そんなにタバコ臭かったかな)

僕は少し動揺した

「コソコソ隠れて吸ってないで吸うんなら堂々と吸え!」

オヤジにはお見通しだった
ぶっきらぼうで、無口で常に眉間にシワを寄せていたオヤジだったが、息子のやる事は既に解っていたのか

「そういや、父ちゃんて何歳の時からタバコ吸ってたの?」

「いつだったかなぁ、中学に入る前には吸ってたような気がするなぁ」

「小学生から吸ってたのかよ?」

「酒もタバコも中学に入る前からやってたなぁ」

スゲーなこのオヤジ、事も無げに言い切るとは

「はい、味噌ラーメンと餃子お待ちどうさま」

店主がテーブルに味噌ラーメンと餃子を置いた

「ほら、早く食え」

「うん」

僕は味噌ラーメンを食べた

「で、父ちゃん」

「何だ?」

「編入の件なんだけど」

「で、お前はどこの高校へ行きたいんだ?」

「都立のH工業…」

「工業高校だろ、お前工業科に入るってことは大学は諦めるって事になるがそれでいいのか?」

工業高校から大学に進学するという事はあまり無い
就職か専門学校に進学するぐらいだ

「オレ別に大学なんて考えた事もないし、そんな頭もないから」

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