テキストサイズ

1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第106章 ギター下手くそだなぁ

須田はヤル気満々だ、バンド組んで皆の前で演奏するって、キンチョーしないもんなのかな

「別に構わないけど、ベースとドラムはどうやって探すんだよ?後、ボーカルも必要だろ?」

このクラスの連中でバントやりたいなんてヤツはいないだろ、現に小沢のギターいらないか?って聞いて回っても興味ないヤツらばっかだったし

「んー、募集かけるってのは?」

僕はテキトーに考えていた

「どうやって?」

「廊下に【バンド募集!ベースとドラム出来る人大歓迎!】とか書いて」

勿論そんなつもりは毛頭ない、ただ思いつきで言ってみただけだから

「そんなの先生に見つかったら剥がされるだけだろ」

もう少し真面目に考えろ!と須田はマジでヤル気だ

「そうか…何かいい方法ないかな」

「聞いて回るしかないんじゃないか?ベースとドラムが出来るヤツいないか?って」

やっぱり聞いて回るしかないのか…

「そうすっか、じゃ片っ端から聞いて回ろうぜ」

そんなやり取りで僕と須田は休み時間になると色んなヤツラに声を掛けてバンドを募集した

しかし、楽器弾いてるよりはバイクに股がってる方が遥かに良いって言う連中ばかりだった

「諦めた方がいいんじゃねーの、別に今すぐバンドを組まなくたっていいじゃん」

僕は須田にまた次の機会にでも探してみようと言うが、須田はすぐにでもバンドをやりたいみたいだ

「いや、こうなりゃ他の学校のヤツラでも構わないから探してくる」

須田は本気で、他校の文化祭や、楽器店に顔を出し、楽器が弾ける連中を探し回り、ボーカルとベース、ドラムの3人を見つけバンドを組んだ

僕はそのメンバーの中に入ってたかった
何故なら、須田の家でギターを弾いたのだが
「小野、お前ギター下手すぎ!」
と言われ戦力外通告をされてしまったからだ…

だから人に聴かせる程の腕前じゃないって言ってたのに…
まぁ僕自身、そこまでしてバンドをやりたいとは思ってなかったから、バンド組む前にギターの下手さが解って逆に良かったような気がするんだが…

須田はその後、他校の連中とバンドを結成し、スタジオで音合わせを何度かしたが、音楽性の方向の違いだとかで表に出ないまま解散したらしい

幻のバンドのまま終わったってワケだ


ストーリーメニュー

TOPTOPへ