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1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第107章 ディスコって疲れる

僕は翌日教室で声を掛け、よく会話をする中田と山下を誘った

そして当日、渋谷のハチ公前で待ち合わせをした
さすが長身でイケメンだけあって、たくさんいる人だかりの中でも際立っていた
服の着こなしも良く、モデルみたいなスタイルだ

「小野ちゃん」

こっちに向かって手を振っていた

「あ、坂井さん、コイツが中田でコイツが山下です」

「は、はじめまして中田です」

「山下です」

「オレ坂井、ヨロシクね」

二人は坂井のかっこよさに見とれていた

「おい、スゲーカッコいい人じゃねーか!」

「あの人がいれば彼女出来そうかもな」

中田と山下は期待に胸と股間を膨らませていた

二人とも勝負服を着て、髪型をガチッとキメてきた

「その頭何だよ、ジェルで固めたのか?」

「ハードムースだよ」

「山下お前随分テカテカしてんな」

「これ水性ポマードだよ、あんま頭触んなよ」

同時、ハードタイプのムースや水性のポマードのような整髪料が流行っていた
物凄い気合いの入れようだ

揃いも揃ってサーファーみたいな格好して流行りものには敏感なヤツラだ、まぁそんな僕も同じような格好なんだけど…

「坂井さん、この前行ったとこに行くんですか?」

この前行ったディスコはサーフボードのキーホルダーが貰えるディスコだ

「うん、基本的に渋谷のディスコってのはナンパ目的の場所だからね。そこに来る女の子もナンパされに行くようなもんだから、いい娘見つけたらチークタイムの時に誘えば一緒に踊ってくれるはずだよ」

坂井の言葉には説得力がある
しかも気さくで僕らより2年先輩なのに、決して偉そうにしない

中田と山下は坂井のカッコよさとフランクな接し方にすっかり心酔していた

「ここだここだ!いいか準備はいいか?」

店の前で坂井は陽気に僕らに心の準備はいいか?とニヤっと笑みを浮かべた

「おし、彼女見つけてやる」

「早く行こう!」

「よし、じゃあオープン ザ ドア!」

坂井がそう言って入り口の扉を開いた

耳をつんざくような店内の音楽と身体中に響く重低音サウンドそして天井にはミラーボールが設置されておりカクテル光線を浴びながら髪を振り乱し、汗を飛ばしながら踊るヤツラに中田と山下は圧倒された
外はもう冬で寒いのに、この中は熱気で暑い
「小野ちゃん、こっち行くよー」

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