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1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第117章 愛しさにサヨナラ

波多野の寂しげな後ろ姿を目で追いながら僕はフラれた
後ろを振り向かず、そのまま遠い存在のように消えていった

僕はフラれた
だが思った以上に落ち込むようなものはなかった

僕は以前に、波多野とは長い付き合いは出来ないだろうと思った
だからこそプラトニックで終わりにしようって決めていたからだ

これで身体の関係があったらどんな別れ方をしたんだろうか
【タラレバ】の話だが、もしそうだとしたらどんな別れ方になってたのか…


波多野が居なくなった公園で僕はBOOWYの曲を聴いていた

【Dreamin'】の歌詞にある

【そんなヤツラは好きじゃない オレはそんなにバカじゃない
ハートは今ここにあるWOW】

このフレーズを口ずさみながら僕は公園を出た

僕は帰りに商店街で渡辺美里の【My Revolution】とファミコンのカセット【忍者ハットリくん】を買い、部屋に籠り渡辺美里の曲を聴きながらファミコンをやっていた
何でこの2つを買ったのかよく覚えてないが、波多野の事を忘れる為にこうやって気を紛らわそう

(オレは波多野にフラれたんだ。でも何で悲しいとかそういう気持ちにならないんだろうか?)

もしかしたら僕は無理をしていたのかも知れない
波多野の行きたい所に行っても心の底から楽しめるという事は無かった
波多野には申し訳ないと思っている
もう少し僕が男らしくグイグイと引っ張れば…
だけど今は足枷を外したかのような自由な気分だ


渡辺美里の曲を聴き終わってまたBOOWYのCDを取り出しゲームをやりながらまた布袋寅泰の弾くギターの音色に身を委ねていた

こうして波多野との恋は終わった

もうすぐで期末テストも始まる
このテスト如何で僕は2年に進級できるかどうか、そんな事をぼんやりと考えていた

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