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1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第118章 最終話 イノセントスカイ~澄みきった空を見上げながら

じゃあ、どうすれば単位を取れるのか、と聞いたら春休み中に補習があるからそれに通えば単位は補えるという事らしい

皆が2年に進級するまで休みだったが、僕は学校に通わなきゃならない
ったくめんどくせぇ、休み期間なんかに学校なんて行ってられっか!

とはいえ、求人募集の雑誌には良さそうな仕事は載ってない
仕方ない、めんどくさいけど学校に行くか、そんな感じで僕は学校に行くことにした

どうやら補修を受けるのは僕の他にも数名いたみたいだ
じゃあ学校に行くしかないか…

いつものように家を出て、駅に着くまでの間、何度空を見上げただろうか

去年は蒼く感じた空は今はどんよりとして灰色になっていた
曇っていたせいもあるか、入学同時のような蒼い空は何度見上げても無かった

そう言えば空を見上げる事も前と比べて少なくなったなぁと実感した

青々というか、蒼い空はもう見る事は出来ないのだろうか?

あの澄みきった汚れのない空は

イノセントスカイ
吉川晃司の歌だが、この歌を聴く度に空を見上げる
あの澄み渡る蒼い空は今でも忘れない

もう一度汚れのない、イノセントスカイを見てみたいもんだ

僕はまたラッシュアワー時に満員電車に揺られ、一時間近くかかりながらも学校に通っている
結果卒業するまで3年間この繰り返しだ

駅のホームの反対側では波多野や杉下をはじめとした中学の頃の連中が高校生らしくなって電車が来るのを待っている

僕もその中の1人だ

ただ僕は電車を待ちながら空を見上げる

また今日も少しどんよりとした空だ

電車に乗っても、ドアの脇に立ち、ずっと空を見ている
またいつか蒼い空を見るために僕は空を見上げている

僕の人生の中で、一番空を見上げた時期だった



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