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1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第3章 波多野、ノート貸して!

今思えば僕は天然だったのかも知れない

僕の発する言葉にクラスが笑っていた
いや、正確には笑われていたのだろうか?

ちょっと抜けているところがあって、それが僕が発言するとクラス中が笑っていた

いじられていたのだろうか…

笑わせてるのか、笑われているのかなんてどうでもよくて、それで自分が注目されるのならばどうであろうと構わない

目立つのが好きだったんだ

まぁ当時はそんなヤツらばっかだったけど

僕は波多野から借りたノートを必死に書き写していた

休み時間が終わり、数学の授業が始まる

先生にが黒板で数式を書いていようが知ったこっちゃない

とにかく次の授業の理科までに書き写さねばならんのだ!

数学の教科書を広げ、あたかも教科書を見ているような素振りだけして、ノートを必死になって書き写すだけ、それしかない

でも波多野の字は丸っこい字だなぁ
当時流行った丸みがかった字を真似したんだろう

対する僕の字は、書きなぐったかのような汚ない字だ

しかも急いで書いてるから余計に汚く見えるし…

書いてる僕でさえ、何だこの字は?というぐらい解読が出来ないような文字なんだから、他人が見たら「インダス文明かよ!」て言われた事もあったな

「おーい、小野!ちゃんと黒板見てるか、おい」

数学の池田先生…

ガッシリして柔道部の顧問をしている
普段は温厚だが、怒ると手がつけられない程の暴れっぷりを見せつける

背中を丸出しにされ、ぱーーーんとお相撲さんがよくやる手形を背中に叩く
痛いのなんのって…

「はい、ちゃんと書いてまーす」

僕はそう答えながらまだ波多野から借りたノートを書き写していた、必死こいて

授業を受けながらも、別の科目の宿題を丸写しするのは難しい

「さっきから何やってんだ、お前?」

そう言うと池田は僕の机の前まで来てノートを覗いた

「あっ、ちょっとそれ…」

僕は池田にノートを取られたっ

「お前、これ理科のノートじゃないか!今は数学の授業だ、バカたれが!」

そう言って教科書の角で頭をカツーンと叩かれた

「いって~っ!」

僕は頭を抱えた
池田め、何も角で叩く事ないだろうに…

しばらく頭が痛かった

皆から笑われるわ、頭は痛いわで散々だ!

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