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1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第5章 トマトあげる

どこの高校に進学しようか…

第一の条件は共学である事
そして学ランじゃない制服の高校に行きたかった…

当時はまだブレザーの制服は少なく、学ランが主流だったからね

僕の中学は比較的ヤンキーは少なく、ボンタンを履いてる生徒はいたものの、他行に比べれば大人しかった方だと思うなぁ

僕はヤンキーでもないし、真面目でもなかった、どちらかと言えば、悪ふざけをして笑わせるような感じの生徒だったかな

ひょうきんなタイプだったが、女ウケは全く良くなかった…全く

会話をする女子も限られていたしね

何人かで集まり、あーでもない、こーでもないとくだらない話ばっか
それでもやっぱり思春期なので、女の話は必ずした、何せ性に目覚めてそれほど経ってないしね

あの時僕の頭の中は(女にモテたい!)ただそれだけ…

自分で言うのもなんだが、当時はトップクラスとまではいかなくても、学力は常に学年で20位以内に入っていた。
なまじっか勉強が出来るからって、何か問題が起きても、先生達は「お前は誰かにそそのかされてやったんだろ?誰に言われてやったんだ?」
成績の良いお前がそんな事するはずがない、なんて感じで僕はむしろ被害者、みたいな感じでいたんじゃないのかな、先生は

だもんだから、ホントやりたい放題だった
先生がかばってくれたからね

その僕が初めてクラスメートの女子を意識するようになった
波多野がその対象なワケで…

普通に話は出来るのだが、それ以上は何の進展もなく、単なるクラスメートの1人という存在の枠から抜け出る事は無かった

「小野っち、このトマトいらないから食べて」

僕はよく給食の時間になると、波多野からトマトを貰っていた

給食のメニューでトマトが出ると必ず僕のトレイにトマトを置いてくるんだ

波多野はトマトが苦手だったみたいで
僕はトマトが大好物というワケではなかったのだが、以前に

「アタシさぁトマト苦手なんだよねぇ」

「んじゃオレにちょうだい」

「小野っちトマト食べるの?じゃこれあげる」

といったやり取りをして以来、波多野は僕にトマトをくれるようになった

…ホントそれだけの関係だったんだ…

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