1985年空は蒼かった~イノセントスカイ
第25章 煙と一緒でモヤモヤっと
僕らは映画を観終わった後に、映画館の近くにある喫茶店に入った
おもむろにポケットからタバコを取り出し、一服する
「小野っち、ここで吸ったらマズくないか?」
井上が止めようとするが、僕はお構いなしに煙を吐き出した
「んー、大丈夫だよ、オレらの他にも吸ってるヤツいるじゃん」
店内を見渡すと、明らかに僕らと同年代の男女が紫煙を燻らせていた
「フジも吸うだろ?」
そう言って僕は藤田にタバコを差し出した
「あ、サンキュ。ライターはいいよ、持ってるから」
結局3人とも店内でプカプカとタバコを吸っていた
何度も言うようだけど、この頃はこういうのが許されてた
店員も注意しなかったしね
それとも、変に注意して何か言われるとか思って、見て見ぬふりしてたのか、よくわからないけど
「フジは何処の高校行くんだっけ?」
そういえば僕は藤田と井上は何処の高校に行くか聞いてなかった
「オレA高校」
「あの学校ってガラ悪くねえか?」
「何だかタチの悪そうなヤツラいっぱい居たな。しょーがねーよ、男子校だしな」
「井上は何処の高校?」
「オレH工業、オレんとこも工業高校だから男子校みたいなもんだよ」
「何だか高校に行ったら男ばっかでイヤになってくるな」
「なぁ、何で高校は共学じゃないんだよ、くそつまんなそうだな」
皆考えてる事は同じだ、共学の高校に進んだのは、都立校の普通科に行ったヤツだけじゃないかな
そんな会話をしながら、灰皿はあっという間に吸い殻だらけになっていった
タバコの煙と一緒でモヤモヤ~っとしていた