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1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第35章 オヤジにぶん殴られた

オフクロも結局はオヤジの言う事に従うしかない、という感じで僕にS学院に通いなさい、と言われた

(冗談じゃねぇぞ、あんな学校で腐ったまま3年も通えるかっ!)

その日、僕は康司の部屋に行くと言ってウチを出た

近くにオープンしたばかりのファミレスに行き、ほんの少しアルコールの入ったシードルという林檎の炭酸を飲んで時間を潰していた

(くそっ!何なんだあのバカオヤジ、いきなり殴りやがって!そんなに言うなら辞めてやらあ!)

僕の心は既に【中退】という2文字しか無かった

高校を辞めて、大検を受けて大学に行こう!

でも待てよ、大検てかなりハードルが高いんじゃないか?

そう考えると、わざわざ遠回りする必要も無いだろう、と

あれこれ頭の中が駆け巡り、結局考えがまとまらず、S学院に行くしか無いという結論になった

(どうせ勉強なんてする気も起きねえからな。ただ毎日通ってりゃいいならそうしてやるか)

僕はファミレスを出て、深夜にコッソリと家に戻り、物音を立てない様に部屋に着き、ソッコーで寝た

翌朝、口元に絆創膏を貼りながら眠い目を擦りつつ駅に向かった

定期を見せ、改札口を通る
すると

「小野っち!」

駅の反対ホームに杉下が立って手を振っていた

あれ?あぁそうか、中学の時とは違う制服だもんな

見慣れないブレザーの制服を着ていた杉下は大人びた感じに見えた

それに引きかえ僕の制服は中学の時と同じ学ランだ

杉下だけが変わり、僕は相変わらずの格好でいるのが恥ずかしくさえ感じる

(だからイヤなんだよ、学ランは!)

僕は杉下の居る反対ホームに目を背け、タイミング良く来た電車に乗った



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