テキストサイズ

1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第42章 原宿に行こう

クラスの何人かとは話すようになったが、無意識のうちに線を張っていたような気がする

仲良く話していても、オレはお前らとは違うんだよ、というバリアを張り、それ以上は溶け込もうとしなかった

とにかく退屈だった
何も代わり映えの無い日々に飽々していた

(あーあ、誰か学校爆破してくんねーかな)

そんなアホみたいな事をいつも考えていた
少しスリルがあるけど、都合の良い世界があればいいのになぁと、バカバカしい事を想像、いや妄想してつまらない日を送っていた

(あぁ、彼女欲しい!どうやったら彼女出来るんだよっ!何で康司の様にアホに彼女がいて、オレに彼女が出来ないんだよ!何だこの不公平な世の中はっ!)

彼女が出来れば、つまらない毎日も薔薇色の日々に変わるだろうと勘違いしていた

(じゃ今から波多野に言おうか、付き合ってって?)

帰りの電車の中でふと波多野の事を思い、駅に着き改札を出て脇にあった電話ボックスに入り、波多野に連絡した

【はい、もしもし】

波多野の声だ

「あ、あの小野だけど…」

【あ、小野っち?どうしたの?】

「うん、いやまぁその…ね。あの、オーディション落ちたからって落ち込む事はないからな、うん」

【え、まさかオーディションの事誰かに言ったの?】

「言ってねーよっ!」

【じゃナニ?まさか励ましに電話くれたの?】

「うん、まぁその…大丈夫かなって」

【大丈夫だよ、別に落ち込んでなんか無いし、小野っちが気にする事ないってば~】

(ナニやってんだよ、早く言えよ!好きだ付き合ってくれって言え、バカヤロー!)

僕は中々言い出せず、話の内容はいつしか学校生活の事になっていた

「あ、そうだ!波多野」

【ん?なに?】

「あの次の休み空いてる?」

【特に用事はないよ】

「じゃあさっ、またどっか行かない?」

僕は焦って早口に捲し立てた

【小野っちと?うん、いいよ何処に行く?】

「んー、今度違う水族館に行かない?」

【もう水族館はいいよー、他の所に行こうよ】

「あ、じゃ映画は?」

【いいけど何の映画?】

「って、今なにやってるの?」

【あー、じゃあ原宿行かない?】

(原宿?まさか竹下通りか?)

「そうだね、原宿いいね、じゃ原宿行こう!」

そして僕は波多野と原宿に行く事になった…

原宿かぁ…人いっぱいいそうだな…


ストーリーメニュー

TOPTOPへ