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1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第43章 優子と付き合ってあげて

(えっ、じゃあ杉下が第二ボタンくれって言ったのは波多野のアドバイスなのか?)

「知らなかった」

「小野っち鈍いよ、優子は小野っちの事ずっと好きだったんだよ。でも小野っちは…」

「で、波多野はどうなんだ?」

「えっ?」

「波多野は誰の事が好きなんだ?」

「…」

「今杉下は関係ないだろ…オレは波多野に付き合ってくれって言ってるんだ」

ここまで言ったんだから後には引けない

「アタシは、その…んー、ゴメン小野っち!アタシより優子と付き合って」

(何だこの展開?何故ここで杉下が出る?ん?オレはフラれたのか…)

しばらく何も考えがつかなかった

そして無言のまま電車に乗り、駅に着いて改札を抜けた

「ねぇ小野っち」

気がつけば空はすっかり暗くなっていた

「アタシより優子と付き合って、お願い!優子はいい子だから小野っちにピッタリな彼女になると思うから」

何だそりゃ?この言葉で波多野に対する想いは音を立てて崩れた

「もういいや…」

身体の力が抜けるような感覚に陥り、僕はトボトボとウチへ向かった

(断るならもう少しマシな言い訳にしろってんだよ!何が優子だ、バカヤローが!)

フラレるってのはこういう感じなのか…
脱力感に襲われ、僕は部屋に入り翌朝まで寝た
あぁ、オレ、フラれたのか…そうかこれがフラレるって感じか

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