無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

『この辺で降りるか♪』


駐車場を見つけて
車を降りて…ゆっくり一緒に歩く。





懐かしい・・・




空気が澄んでいて

吸い込むと



気管・・・肺のおくまで

目一杯、酸素が届くような




のびのびとした

あたたかい土地





あの時の私たちが

明日の事も未来の事も

何も考えずに




ただひたすら逃げて





そして…初めて

〃自由〃を感じた場所




初めて・・・人目を気にせず


普通のカップルのように


ただお互いを想って


求めて




このまま一緒にいられる


そんな未来を創るために


がんばるんだ。






そんな思い出の詰まった場所に

優人は私を連れて来てくれました








とは言え

思い出は





美しいもの・・・楽しいもの




あたたかいものばかりでは

ありません。





優人と逃げた、あの日





それに至った経緯

そして

その後の私たちの身に

待ち受けていた事






記憶に残る事実も

思い出される景色も





優しいものばかりでは…ないのです。






例えば…あの時とは違うこと




自由は自由


けれど


走り回る事も出来ない今の私





ゆっくり、ゆっくり、なんとか歩く





そんな私を隣に見て

優人は・・・辛い景色を

思い出したりはしないだろうか





その記憶と

現在の私の姿が

優人を傷付けはしないだろうか







『ﾊｧ･･･っ････ﾊｧっ』


そんな潜在意識からでしょうか


私は、いつの間にか優人に掴まっては

懸命に

歩くスピードを

必死に上げていた気がします