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碧い空に出逢えて ~ 羽ばたく鳥 ~

第4章 はじめての・・・自由

『辛かった・・・よね・・・』






私は…涙を堪えると同時に

優人と繋いだ手を

強く握り直しました。





当時から優人だって

子どもだった訳でもなければ

右も左もわからない

未熟な人だった訳でもない




けれど



その身に起こった事が

その仕打ちが



辛くなかったはずなどなければ



たった一人

知らない土地に来て



その孤独や不安

様々な恐れを

感じていなかったはずなどない





そんな想いが

私の胸をしめつけました。








『まぁ…それなりに?
色んな事はあったけどな♪

そりゃどこにいてもそうだし

人間、大抵の事には
順応したり…慣れてくるから

なんとなく…なんとかなる
って言うかな?

良い思い出なんて言うのは変だけど
ひとつの・・・経験だと思ってる♪』







『・・・・』




〃ごめん〃


涙を堪えるのが苦しくて

思わず吐き出しそうになった

その一言を

必死に飲み込みました






優人は私の

そんな言葉を求めてるんじゃない





私が泣いたりしたら

優人が要らぬ心配をする





私は…ささっと

目頭を拭って顔を上げました





『グスっ・・・・どうりで

たくましさを増してると思った(笑)

おかげで、どこに行くにも

安心だし・・・楽しいよ、私』






『・・・バーカ(笑)』






『ふふっ・・・私ね

地元に居たときは~~…』





『ウンウン・・・』







過去を・・・悔いることは

ありません。





お互いに

贖罪をする必要もありません。





それを乗り越えて



私たちは今



共に生きていられるのだから

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