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碧い空に出逢えて ~ 羽ばたく鳥 ~

第6章 優人の心・・・

その時に…私が感じた〃戸惑い〃を


〃彼の純粋な親への思いやり〃


と捉えるのか


〃私自身の…戸惑い〃


と捉えるのか




その答えは正直
難しいものです




本当に正直に言ってしまえば

当時の…まだ幼い私には

そんな・・・一瞬感じた戸惑いを

深く考える気持ちもなければ




ただただ…彼の優しさや

人間らしい部分が素敵だと

純粋に思っていた





もっと言えば

恋は盲目・・・と言うのか

私も…彼が大好きで

そんな風に相手を

懸念する気持ちが全くなかった




それが…正直な所だったと

今では思います。









『まりあ・・・結婚しよう』







彼の口から

その言葉が告げられたのは




私が就職したばかりの年



カズキが、まだ
現役の大学生の時でした






こういう時って

どうにもこうにも

嬉しくて…でも気が動転して

だけどやっぱり嬉しくて

涙が溢れて・・・





そんな事を想像していた私には

驚くほど

そんな感情は湧きませんでした






『ガスくん・・・?でも・・・

ガスくんまだ学生じゃない。

それに…ガスくんのお父さんや

お母さんだって・・・』






学生ながらに彼が…一生懸命

アルバイトして買ってくれた

ダイヤモンドの指輪を前に






私は・・・・嬉しい気持ちよりも




やはり・・・戸惑っていました








だけど・・・それを

さすがに言えませんでした








『大丈夫だよ

親父も、お袋も…喜ぶさ』





『・・・』



だからって…そんなに急がなくても





それが…私の
正直な気持ちだったと思います。









『親父は…いつ逝っちまうか

わかんないし?(笑)

早く…安心させてやりたいんだ』






『・・・』




考えれば

思えば…おかしな話なのです




それは・・・私の…冷たく
身勝手な言い分かもしれませんが






〃私のため・・・私とあなたのため

では・・・ないんだね〃





きっと、当時の幼い私の中にも

向き合って探せば必ず存在したであろう

その胸のモヤモヤと、その気持ち





この時の私はその答えを見つけることが

たどり着くことが…出来なかった

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