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不思議の国のアリス

第4章 ♠︎un


唐突に子豚が此方を振り向いた。

何か言いたそうにしているが、私にはその言葉が瞬時に「ぶう」だということを確信した。

そのふざけた言葉を聞くのはうんざりだが、逆にその言葉以外を発するとも思えなかった。


「×××?××××××?」

しかし、私の自信満々な予想とは大きく外れて、子豚の言葉にはノイズが多量に含まれていた。

ぶうでは無かったが、意思疎通が出来ない状態に変わりは無い。

聞きたい事は山ほどあるのに.....。

私は、心の中で落胆の溜息を吐いた。

一体いつまで、この宇宙もしくは宇宙もどきの空間に浮遊しなければいけないのだろうか。

私が一抹の不安に襲われていると、子豚が手招くように小さな手で大振りに手を上下に振る。

....。

一瞬、拒否する事を考えたが、すぐさま脳裏にサイドガラスの一件が蘇る。

次は私の頭が木っ端微塵に破壊されそうな気がする。そんな未来は絶対嫌だ。


全く気は進まないが、拒否権は無いと思った私は、空中の上手な進み方も分からぬまま、水中を平泳ぎするかのように、手足を動かして子豚の元まで辿り着く。

到着すると、小さな手にギュッと力強く手を握られた。

駆け上ってきた恐怖が肩まで到達するよりも先に、再び私は子豚と共に宇宙空間を移動していた。
多分、ジェット機並みのスピードで。

数多の星々が次から次へと目の前に現れ消えていく。

自分がロケットにでもならない限り、一生見れなかった光景だろう。

隣の飄々としてる子豚は前だけを見据えている。どこかを目指しているようだが、皆目見当もつきそうにない。

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