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押忍!!

第2章 押忍2

『ドンドンドン!!』

 扉を強く叩く音が響く。

「はいはい、どちらさんですか?」と、おかっぱの岡津馬が扉に近付いた。

 扉を開けた瞬間……

「ぐはっ!!」という声と共に、岡津馬は仰け反って、床に倒れこんだ。

「なにっ!!」と兄貴が立ち上がった。

 私はとりあえず聞いてみた。

「あなた名前はなんて言うの?」

「阿二木だ」

 あにき!? 兄貴って、兄貴じゃなく阿二木って、名前だったのね?

「なんだ、このガキぃ!?」と阿二木が顔をしかめる。

 阿二木の手には、短刀が……。

 そして、部屋に入ってきたのは……。

「助けにきたよ!!」

 まさかの……北都くん!!

 私は胸が押し潰されそうなくらいに感動した。

 上段の構えを見せる北都。部活では、弱そうに見えるけど、いま、ヤクザに立ち向かう姿、やっぱり弱そう。

 阿二木が短刀を両手で握り、北都に襲いかかる。北都はヒョイと体を退けた。

 阿二木の短刀は、後ろの壁に突き刺さり、勢いのあまり、柄を握る手が前に滑り、刃の方へ……

「ぐわぁーっ!! 手が!!」

 手の平をザックリいってしまった様子。

「き……きさまぁーーつ!!」

 いや、北都は避けただけだよね。あんたの自業自得じゃないの?

 北都は拳を突きだしながら、目を閉じて向かっていった。

 こいつ、血を見ると弱いんだ。ダメじゃん。てか、よく岡津馬を倒せたわね。岡津馬が無茶苦茶弱い?

 北都が出したヘナヘナの突きが、阿二木の胸に当たった。 

 なぜか、阿二木は悶絶しながら、倒れた。

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