愛してるって言って!
第2章 【四人の男は恋をしている】
『少しずつ崩れ始める』
翌週のある日、珍しく昼休憩が重なった静矢と嶋は、二人揃ってカフェへやって来た。と言っても、もう夕方の4時半だった。他の客は皆、コーヒーや紅茶と一緒に、ケーキや焼き菓子なんかを食べている。所謂、お茶の時間だ。
「あっお疲れ様!静矢さん!」
「おう、お疲れ」
「よぉ、忍」
「ゲッ!嶋さん…」
忍は、嶋を見た途端に、今までになく、嫌そうな顔を見せた。
「週明けそうそう、来てやったのに、ゲッてなんだ!?ったく。蒔田にはこいつの事、もう少しちゃんとしつけておいてほしいもんだな」
「よく言っておくよ」
静矢は笑ってそう言っておいた。
「そうだ、二人に紹介したい人がいるんだ。マスター!義兄さん達、来ましたよ!」
忍が厨房の奥に向かってそう言うと、マスターが出てきて静矢と嶋に頭を下げた。その後ろから、見慣れない青年が顔を出す。
「お疲れ様です、お二人とも。紹介しますね。今日からここで勤務してくれる事になった、桐生くんです」
「桐生、千春です」
少し緊張気味に、桐生千春、と名乗ったその青年は、見た目は高校生くらいにも見える童顔で、くりくりと丸い、いかにも純粋そうな目をしていた。身長は忍より少し高いくらいで、背筋がスッと伸びていて、姿勢が良い。一見、大人しそうに見えるのだが、ふわっとした黒い髪の右寄りの一部だけを金髪に染めていて、それが、内に秘める気の強さを思わせた。
「忍の義理の兄で、美術館でウエディングプランナーとして勤務しています、蒔田静矢です」
「美術館学芸員の嶋諒太郎です。よろしく」
千春は、一瞬固まったように二人を見つめたが、すぐに深々と頭を下げた。
「こちらこそ、よろしく願いします!」
「千春くんは、東京のバルのホールで働いてたんだって。ね?」
「あ、はい…。でも、経験はまだ浅いので、一から勉強させてもらうつもりで、頑張ります!」
そう言った千春の目は、本当に澄んでいた。目をキラキラさせて、まるで無垢な仔犬の様だ。
翌週のある日、珍しく昼休憩が重なった静矢と嶋は、二人揃ってカフェへやって来た。と言っても、もう夕方の4時半だった。他の客は皆、コーヒーや紅茶と一緒に、ケーキや焼き菓子なんかを食べている。所謂、お茶の時間だ。
「あっお疲れ様!静矢さん!」
「おう、お疲れ」
「よぉ、忍」
「ゲッ!嶋さん…」
忍は、嶋を見た途端に、今までになく、嫌そうな顔を見せた。
「週明けそうそう、来てやったのに、ゲッてなんだ!?ったく。蒔田にはこいつの事、もう少しちゃんとしつけておいてほしいもんだな」
「よく言っておくよ」
静矢は笑ってそう言っておいた。
「そうだ、二人に紹介したい人がいるんだ。マスター!義兄さん達、来ましたよ!」
忍が厨房の奥に向かってそう言うと、マスターが出てきて静矢と嶋に頭を下げた。その後ろから、見慣れない青年が顔を出す。
「お疲れ様です、お二人とも。紹介しますね。今日からここで勤務してくれる事になった、桐生くんです」
「桐生、千春です」
少し緊張気味に、桐生千春、と名乗ったその青年は、見た目は高校生くらいにも見える童顔で、くりくりと丸い、いかにも純粋そうな目をしていた。身長は忍より少し高いくらいで、背筋がスッと伸びていて、姿勢が良い。一見、大人しそうに見えるのだが、ふわっとした黒い髪の右寄りの一部だけを金髪に染めていて、それが、内に秘める気の強さを思わせた。
「忍の義理の兄で、美術館でウエディングプランナーとして勤務しています、蒔田静矢です」
「美術館学芸員の嶋諒太郎です。よろしく」
千春は、一瞬固まったように二人を見つめたが、すぐに深々と頭を下げた。
「こちらこそ、よろしく願いします!」
「千春くんは、東京のバルのホールで働いてたんだって。ね?」
「あ、はい…。でも、経験はまだ浅いので、一から勉強させてもらうつもりで、頑張ります!」
そう言った千春の目は、本当に澄んでいた。目をキラキラさせて、まるで無垢な仔犬の様だ。