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愛してるって言って!

第2章 【四人の男は恋をしている】

「別にいいんじゃないですか?少数派ってだけだし、黙ってれば誰にもわからないでしょ」
意外だと思った。千春は、一見純粋そうに見えるし、ちょっと道から逸れた事があれば、「そんなの絶対だめです!」とか言いそうだ。しかしどうやら、肝が据わった、割と物怖じしない性格らしい。
「そうだけど…茜はすごく怒るかも」
それは忍の心にずっと引っかかっている事だった。
静矢さんに手なんか出したら、絶対怒るだろうな。いや、下手したらもうすでにカンカンだったりして。
「そんな事言ってたら、パートナーを亡くされた人は、ずっと独り身でいなきゃいけない事になりますよ?」
「そうだけどさ…」
確かにそうなんだけど…。
忍が尻すぼみになった次の瞬間。千春は突然、ずいっと忍に近づいた。
「忍さん。蒔田さんも、忍さんも生きてるでしょ。恋愛できるのは生きてる人だけですよ」
忍は呆気に取られ、言葉を失う。御もっともすぎて、反論する気も起きなかった。

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