愛してるって言って!
第2章 【四人の男は恋をしている】
千春の気持ちは、忍には痛いほどよくわかった。好きな人のそばにいられる事が嬉しくて、それだけで幸せだと思える気持ちは、付き合っていようがいまいがきっと同じだ。
「だけど、その人と急に別れる事になって、仕事に行くのも、その人に会うのも、すごく辛くて…。社会人のくせに甘いって思われるかもしれませんけど…なんかもう、あの時はどうしようもなかったんです。別れてからも、その人はお客さんだし、仕事中は笑顔で迎えなきゃいけないし」
「それでこっちに来ようと思ったんだ?」
「はい、まぁ正直、それが一番の理由です。もちろん、タイミングはありました。ちょうど辞める話をオーナーにしていた時、ここのお話を聞いて、きっと、何か縁があるかもしれないって思って決めたので…」
好きな人を忘れなきゃいけない辛さも、忍にはよくわかる。静矢が茜と付き合った時、結婚した時、忍はもう二度と二人の顔なんて見たくないと思っていた。
「だけど思い切って那須に来て、本当に良かったです。ここで、マスターや、忍さん達と仕事ができて、嶋さんや、蒔田さんにも出会えて、みんないい人ばっかりで。だからってすぐに忘れられるわけじゃないけど、でも少しずつ、前に進んでる感じが今はあるんです」
忍は少し照れくさくなったが、千春の気持ちは素直に嬉しかった。忍の大好きなこの場所を、同じ様に気に入ってくれた人がいるという事が、本当に嬉しかった。
「忍さん、僕応援しますから!」
「え?いいよ。おれは別に…」
「何でですか?好きなんでしょ?」
「いや…そりゃそうだけど。でも、別にだからどうこうってわけにいかないし」
「どうって?」
「だから…」
「だから?」
千春は、首を傾げ、きょとんとしている。
「だって、義理の兄で、双子の姉の旦那だよ。どうにもなれないでしょ」
「だけど、その人と急に別れる事になって、仕事に行くのも、その人に会うのも、すごく辛くて…。社会人のくせに甘いって思われるかもしれませんけど…なんかもう、あの時はどうしようもなかったんです。別れてからも、その人はお客さんだし、仕事中は笑顔で迎えなきゃいけないし」
「それでこっちに来ようと思ったんだ?」
「はい、まぁ正直、それが一番の理由です。もちろん、タイミングはありました。ちょうど辞める話をオーナーにしていた時、ここのお話を聞いて、きっと、何か縁があるかもしれないって思って決めたので…」
好きな人を忘れなきゃいけない辛さも、忍にはよくわかる。静矢が茜と付き合った時、結婚した時、忍はもう二度と二人の顔なんて見たくないと思っていた。
「だけど思い切って那須に来て、本当に良かったです。ここで、マスターや、忍さん達と仕事ができて、嶋さんや、蒔田さんにも出会えて、みんないい人ばっかりで。だからってすぐに忘れられるわけじゃないけど、でも少しずつ、前に進んでる感じが今はあるんです」
忍は少し照れくさくなったが、千春の気持ちは素直に嬉しかった。忍の大好きなこの場所を、同じ様に気に入ってくれた人がいるという事が、本当に嬉しかった。
「忍さん、僕応援しますから!」
「え?いいよ。おれは別に…」
「何でですか?好きなんでしょ?」
「いや…そりゃそうだけど。でも、別にだからどうこうってわけにいかないし」
「どうって?」
「だから…」
「だから?」
千春は、首を傾げ、きょとんとしている。
「だって、義理の兄で、双子の姉の旦那だよ。どうにもなれないでしょ」