テキストサイズ

ジッパー様

第21章 ジッパー様との出逢い

 その後、私の知らないところでルークとの婚約の話が進められ、サヤの結婚が終わり次第、ルークが九条家に婿入りすることになった。


「シホお姉様の婚約者って、黒澤家の次男? 確かおもちゃ会社の社長だったわよね」
 

 サヤが何か話しかけてきたけど、私は椅子に座って本を読んでいた。
 

「噂では絶倫って話らしいわ。セックス好きなお姉様とはお似合いね!」

「……」


 私は読んでいる小説の中で、あることを探していた。それは確実に死ねる方法と、女が一人で生きていく方法。


 私は学校に行っていない。だから知識も乏しい。唯一世間を知る方法は、小説の本だった。
 確か、愛し合う男女が引き裂かれて、女の方が海に身を投げて死んでしまう物語があった。そして男も彼女のあとを追って首吊り自殺をしてしまう……。


 でも海にはどうやって行くのかわからないし、行くとしてもお金がない。首吊りは縄が必要。でもここには無いし、使用人に頼めば父に報告されてしまう。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ