
ジッパー様
第21章 ジッパー様との出逢い
父に知られたら、もっと行動を制限されてしまう。慎重にいかなければ……。
「ねえ、聞いてる? シホお姉様」
サヤが私の小説の本を取り上げた。そして私が仕方なくサヤの顔を見上げると、サヤはニヤリと笑みを浮かべた。
「明日、あたしの婚約者が挨拶にくるの」
「!」
「両家の挨拶が済んだら、ついにあたしは伯爵夫人よ」
「……」
サヤが伯爵夫人……。あの人がそんなに位の高い人だったなんて。
「本当ならお姉様に彼を紹介したいところだけど、お姉様も明日は黒澤様と出かけるのよね? 結婚式のドレスを見に行くって、お父様が言ってたわ」
「えっ?」
そんなこと、何も聞いていない。でも父とサヤの思惑が垣間見れた。きっとサヤは、彼を私に会わせたくないと父に訴えたんだろう。父も私という存在を隠したかったはず。婚約者と結婚式の準備のため出かけたとなれば、相手に突っ込まれることもない。
「ねえ、聞いてる? シホお姉様」
サヤが私の小説の本を取り上げた。そして私が仕方なくサヤの顔を見上げると、サヤはニヤリと笑みを浮かべた。
「明日、あたしの婚約者が挨拶にくるの」
「!」
「両家の挨拶が済んだら、ついにあたしは伯爵夫人よ」
「……」
サヤが伯爵夫人……。あの人がそんなに位の高い人だったなんて。
「本当ならお姉様に彼を紹介したいところだけど、お姉様も明日は黒澤様と出かけるのよね? 結婚式のドレスを見に行くって、お父様が言ってたわ」
「えっ?」
そんなこと、何も聞いていない。でも父とサヤの思惑が垣間見れた。きっとサヤは、彼を私に会わせたくないと父に訴えたんだろう。父も私という存在を隠したかったはず。婚約者と結婚式の準備のため出かけたとなれば、相手に突っ込まれることもない。
