
ジッパー様
第21章 ジッパー様との出逢い
でもこれはまたとないチャンスだ。うまくいけば逃げられるかもしれない……。
「そうなの、ごめんね、サヤ。ちゃんと二人をお祝いすることができなくて」
「いいのよ、お姉様は黒澤様とのデートを楽しんできて」
そう言うと、サヤは小説の本を床に放り投げて部屋を出て行った。
「はあっ……」
明日、この家を出られる。
まさかこんなチャンスが訪れるなんて……私はまだ自分の人生を諦めなくていいの?
でも、怖い。
父がそばにいなくても、ルークがいる。彼がそう易々と私を逃がすはずがない。
期待と不安で呼吸が乱れる。手も震えてきた。こんな時、そばに誰かがいてくれたら……。
「……」
私の頭の中に思い浮かんだのは、名前も知らないサヤの婚約者。
真っ白な髪に、忘れることのできない灰色の瞳。身体を触れられて、あんなにも幸せを感じたのは初めてだった。
でも彼はもうすぐサヤと結婚してしまう……。
「そうなの、ごめんね、サヤ。ちゃんと二人をお祝いすることができなくて」
「いいのよ、お姉様は黒澤様とのデートを楽しんできて」
そう言うと、サヤは小説の本を床に放り投げて部屋を出て行った。
「はあっ……」
明日、この家を出られる。
まさかこんなチャンスが訪れるなんて……私はまだ自分の人生を諦めなくていいの?
でも、怖い。
父がそばにいなくても、ルークがいる。彼がそう易々と私を逃がすはずがない。
期待と不安で呼吸が乱れる。手も震えてきた。こんな時、そばに誰かがいてくれたら……。
「……」
私の頭の中に思い浮かんだのは、名前も知らないサヤの婚約者。
真っ白な髪に、忘れることのできない灰色の瞳。身体を触れられて、あんなにも幸せを感じたのは初めてだった。
でも彼はもうすぐサヤと結婚してしまう……。
