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ALL MY LOVE IS FOR YOU

第1章 朝日を見に行こうよ【赤白】






冴はガオズロックの自室を飛び出し、広間へと来ていた。
今日もオルグと戦い、体は疲れているはずなのに何故か眠れない。
何十回と寝返りを繰り返し、終いには起きてしまったのだ。
当然、ガオレンジャーのメンバーは眠っていてテトムの姿もない。
パワーアニマル達も休息を取っているはずだ。
起きているのは自分だけ。
冴は急に寂しさと謎の恐怖に襲われた。
怖いのだ。毎日続く戦いが怖いのだ。
いくら戦闘能力が高いとはいえ冴はまだまだ学生であどけなさが残る少女。
精神的にも大人になりきれていない、まだまだ繊細なお年頃。
頼りになる仲間がいるとはいえ、無性に戦いの日々が怖くなるのだ。
そんなことを色々考えているうちに脳が覚醒してしまい眠れなくなってしまった。
シン、と静まり返った薄暗い広間にいるのも相まって冴は鼻の奥がツンとするのを感じた。
誰もいないし…いいかな。
泣いてスッキリしよう。と泣きモードに入ろうとした瞬間、後ろから足音が聞こえてきて冴は慌てて涙を引っ込めた。

「レッド…?」

振り向くと自分と同じパジャマ姿の走がいた。

「どうしたの?」
「それはこっちのセリフだよ。寝ないのか?」

走はごく自然な動作で冴の隣に座った。

「寝れないの…」

俯きながら呟いた冴に走は小さく笑うと冴の頭に手を置き、優しく撫でる。

「まぁ、そんなときもあるよなぁ。ホワイトは女の子だし、俺たちもあんまり気を遣えてないからな」
「いや、そういうことじゃないのよ…ただ…えっと…」

言葉に詰まる冴に走は撫でていた頭を自分の方に引き寄せた。

「レッド…!?」
「無理に言わなくていいよ、言いたくなかったら」

いつになく優しい声の走に冴は目の前が涙で見えなくなり、とうとうそれは零れしまった。
その様子が伝わったのか、走は冴の頭をまるで小動物を愛でるかのような手つきで冴の頭をただひたすら撫でた。
どれぐらい時間が経ったのだろうか。しばらくその状態でいた。
ガオズロック内が明るくなってきた。それを確認すると虚ろな目で静かに泣き続ける冴の頭から手を離し、そのまま冴の手を握った。

「え、ちょっと、レッド?」

突然握られた手に真っ赤になった目で走を見る冴。走はニカッと笑った。

「見れるかもしれない!」
「え、何が?って、ちょっと!!」



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