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ALL MY LOVE IS FOR YOU

第1章 朝日を見に行こうよ【赤白】





走は立ち上がると冴の手を引っ張り、ガオズロックを後にした。
されるがままで理解不能状態だった冴だが外へ出て眩しい光が2人を照らした瞬間冴は歓声を上げた。
ちょうど朝日が登っていたのだ。
冴は稽古のために早起きすることはあったが朝日など見たことなかった。
朝日など見ている暇があるなら拳を奮っていたから。

「良かったぁ、間に合った~!」
「このことだったのね…」

2人はしばらく朝日を見つめていた。
走の優しさと今見ている朝日に安心したのか、冴は急激な眠気に襲われた。
必死に目をこする冴に走は軽く笑い、急いでガオズロックの中に入った。

「まだみんな起きるまで時間あるだろ?自室に戻って仮眠しな?いつオルグが襲ってくるか分からないからな」
「でも…レッドは?」
「俺は獣医だ!…夜中に急患とか診てたから多少の寝不足は平気さ」

獣医の部分は必要なのか…と冴は思ったが突っ込む前に意識を手放してしまった。

「あれ?寝ちゃった?…どうしようか…」

ここはまだガオズロックの広間。ここで放置すれば体にも悪いし何よりガオレンジャー達に色々聞かれてしまう。
だが、自室まで送るのも…。

「ま、いっか。」

尋問を受けるより女の子の部屋に入る方がマシと考えた走は冴をおぶると広間を出た。

「なぁ、ホワイト?」

自室までの道、走が冴に話しかける。
もちろん、寝ている冴には聞こえていない。

「またこうやって眠れない日があったらさ…俺を呼べよな」

その声が届いたのかおぶられている冴の走を抱きしめる力が強くなった気がした。





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