異世界転生が出来ると思ったのにポイントが高すぎる
第1章 前編
仕事に疲れてとぼとぼ歩いていると神社に差し掛かる。もう夕暮れで受付も締まっており赤い鳥居だけが華やかさを見せていた。
「はあー。お参りでもしていくかなあ」
誰もいないので本格的に鳥居の前で二回拝礼をしてから手を洗い口を漱ぐ。こじんまりとしているが木々の溢れるしっとりした境内を歩き、階段を上がって賽銭を投げ入れる。十五円入れようかと思ったが、思い直し四十五円にする。
「始終ご縁がありますように――はあー異世界にでも転生できたらなあ」
ガラガラと鈴を鳴らし、思いっきり柏手を打つと目の前がぱっと明るくなった。
「きゃっ!」
思わず目を閉じ、パチパチ瞬かせると、目の前の眩しい光の中に誰かがいる。
「え? まじで? 神様?」
逆光に目が慣れて良く見ると、目の前の神様であろうか、狐の耳と尻尾をもち袴姿の色の白い凛々しい若い男性が私を静かに見つめている。
「神様というか人外というか……お稲荷様?」
耳と尻尾と長い髪は銀髪で、切れ長の一重の瞳には薄茶色の中にグリーンが混じっている。あまりの美しさにぼんやり口を開けてみていると、止まった時間が動き出したかのように、神様が話しかけてくる。
「お前の願いは異世界転生か?」
「はっ! えっと、そうですね。出来たら異世界で溺愛されたらいいなあーって……」
「ふむ。異世界で溺愛か」
「で、できるんですか?」
「ああ、できる」
「やったー!!! 異世界転生だあ!!!」
「はあー。お参りでもしていくかなあ」
誰もいないので本格的に鳥居の前で二回拝礼をしてから手を洗い口を漱ぐ。こじんまりとしているが木々の溢れるしっとりした境内を歩き、階段を上がって賽銭を投げ入れる。十五円入れようかと思ったが、思い直し四十五円にする。
「始終ご縁がありますように――はあー異世界にでも転生できたらなあ」
ガラガラと鈴を鳴らし、思いっきり柏手を打つと目の前がぱっと明るくなった。
「きゃっ!」
思わず目を閉じ、パチパチ瞬かせると、目の前の眩しい光の中に誰かがいる。
「え? まじで? 神様?」
逆光に目が慣れて良く見ると、目の前の神様であろうか、狐の耳と尻尾をもち袴姿の色の白い凛々しい若い男性が私を静かに見つめている。
「神様というか人外というか……お稲荷様?」
耳と尻尾と長い髪は銀髪で、切れ長の一重の瞳には薄茶色の中にグリーンが混じっている。あまりの美しさにぼんやり口を開けてみていると、止まった時間が動き出したかのように、神様が話しかけてくる。
「お前の願いは異世界転生か?」
「はっ! えっと、そうですね。出来たら異世界で溺愛されたらいいなあーって……」
「ふむ。異世界で溺愛か」
「で、できるんですか?」
「ああ、できる」
「やったー!!! 異世界転生だあ!!!」