異世界転生が出来ると思ったのにポイントが高すぎる
第1章 前編
黄昏時、日が沈みかける前に神社に行き、賽銭箱の前で柏手を打った。
「現れますように!」
ぎゅっと目を閉じると、やはり眩しい光を感じ、そっと目を開けた。
「はあー、良かったあ」
麗しいお稲荷様がクールな面持ちで現れる。人外もいいなあと、貴公子から目移りしかける。たっぷりした美しい毛並みのしっぽがふわふわと揺れている。
「300ポイントたまっているようだな」
「やっぱり!? ここのところすっごい頑張ったんですよ!」
私は朝早く出社して、掃除をし、後輩に親切にして、先輩の指示をきちんと守って仕事をした。ぶつかってきた人に怒らず笑顔で大丈夫ですよと言い、小銭を落として探しているおばあさんの手伝いをし、近所の人に挨拶もし始めた。
「では人間に転生させてやろう」
「はあー、いよいよー! 身分は低くていいです。苦労したくないし」
「身分? そのようなものはない」
「え? ないんですか? まあ、いいか。異世界で溺愛だけでも……」
「お前は農夫になり田畑を耕すことになるだろう」
「えっええっ? ちょ、ちょま、って、農夫? やだやだ! 溺愛もないし、農夫って男?」
「そうだ。それが叶えられるポイントだ」
「ええ~。がっかり……」
300ポイントというのはどうやら人間になるということくらいが叶うようだ。農夫じゃ今の生活のほうがいいかもなあ。
「あのー。私の望む通りに転生しようと思ったら何ポイント必要でしょうか?」
詳しい設定を話すとお稲荷様はすぐさま計算を終えて
「1200ポイント」だと教えてくれた。
「1200かあ……」
この1週間で150ポイントを貯めることが出来た。残りは900ポイント。
「6週間……」
二か月かからずに希望通りの転生ができるのだ。
「どうする? 転生するか?」
「いえ! また貯めてから来ます!」
「そうか。ではさらばだ」
ハッとするともう消えている。私はよーしとファイトを燃やす。
「現れますように!」
ぎゅっと目を閉じると、やはり眩しい光を感じ、そっと目を開けた。
「はあー、良かったあ」
麗しいお稲荷様がクールな面持ちで現れる。人外もいいなあと、貴公子から目移りしかける。たっぷりした美しい毛並みのしっぽがふわふわと揺れている。
「300ポイントたまっているようだな」
「やっぱり!? ここのところすっごい頑張ったんですよ!」
私は朝早く出社して、掃除をし、後輩に親切にして、先輩の指示をきちんと守って仕事をした。ぶつかってきた人に怒らず笑顔で大丈夫ですよと言い、小銭を落として探しているおばあさんの手伝いをし、近所の人に挨拶もし始めた。
「では人間に転生させてやろう」
「はあー、いよいよー! 身分は低くていいです。苦労したくないし」
「身分? そのようなものはない」
「え? ないんですか? まあ、いいか。異世界で溺愛だけでも……」
「お前は農夫になり田畑を耕すことになるだろう」
「えっええっ? ちょ、ちょま、って、農夫? やだやだ! 溺愛もないし、農夫って男?」
「そうだ。それが叶えられるポイントだ」
「ええ~。がっかり……」
300ポイントというのはどうやら人間になるということくらいが叶うようだ。農夫じゃ今の生活のほうがいいかもなあ。
「あのー。私の望む通りに転生しようと思ったら何ポイント必要でしょうか?」
詳しい設定を話すとお稲荷様はすぐさま計算を終えて
「1200ポイント」だと教えてくれた。
「1200かあ……」
この1週間で150ポイントを貯めることが出来た。残りは900ポイント。
「6週間……」
二か月かからずに希望通りの転生ができるのだ。
「どうする? 転生するか?」
「いえ! また貯めてから来ます!」
「そうか。ではさらばだ」
ハッとするともう消えている。私はよーしとファイトを燃やす。