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涙の先に見えるもの

第1章 涙の先に見えるもの


      ***

 あれから数ヶ月の月日が流れた。

「先輩、これは、これでいいのですか?」

「ん。よく頑張ったわね。ありがとう。次も頼んだわよ」

 私は同じ職場で仕事をしている。沢野さんの働きで、女社長にお局の嫌がらせや部長のセクハラやパワハラの話がいったのだ。彼や彼女らには処分が下された。部長は移動になり、お局は待遇下降に職場を辞めた。私はその後、昇格。

 女社長は全うな人格者だ。学生時代のいじめが悔しくて、生半可じゃない努力をして登り詰めたそうだ。間違っていたと思うとどんな格下の相手だろうと謝罪をする。私も謝られてしまった。女社長とは親しくなり、プライベートでも出かける中になった。仕事ぶりも正当に評価してくれる人だ。


「はいっ! あと、先輩! おめでとうございます!」

「ふふっ。ありがとう」

 私の左薬指に輝くダイヤの婚約指輪。

 世の中はまだ腐っていない。ダメな奴ばかりじゃない。沢野さんや女社長みたいな人もいる。

 恋愛なんてしない。友達なんてもう要らない。そう思っていたあの頃の私に今は言いたい。貴女は幸せになれるよって。

 そうーー

幸せになる権利は誰にでもある。



fin.
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