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BLUE MOON

第6章 星空


目を覚めたら布団の中にいた。

…涼さん

むくりと起き上がると並んで敷かれているもうひとつの布団に涼さんが寝息を立てていた。

時計の針はまだ陽が出たぐらいの時刻

私はぐっすり眠っている彼を起こさないようにお風呂セットを持って一人浴場へと向かった。

時間が早いせいもあってまだ誰もいない。

私は贅沢に湯船の真ん中に座って両手を掲げ両足を投げ出した。

「う~ん!」

朝の光に照らされた緑は昨日よりも鮮やかで

「極楽、極楽」

空もまた蒼く澄んでいた。

それはまるで私の心のよう。

決心はしたもののお姉ちゃんに紹介するまでたくさん悩んだ。

もしかして反対されたらって…私に幸せになる権利があるのかって…

でも、涼さんとここに来て良かった。

お姉ちゃんに紹介できたことによって少なくとも私の心の中は前を向けたような気がした。

*

部屋に戻ってくると涼さんは布団の中でテレビを見ていた。

「お風呂行ってたの?」

「スミマセン、早く目覚めすぎてしまって」

いつもよりのんびりしている涼さんの枕元に座り頭を下げると

「モモ」

涼さんは掛け布団を持ち上げてポンポンと叩いて招く。

「そろそろ朝食の時間ですよ?」

「いいじゃない」

涼さんは私の手首を掴むと

「わあっ!」

グッと引っ張って強引に布団に連れ込んだ。

「痛いじゃないですか」

「シーっ」

手首を掴んでいた大きな手は私の背中へとまわり はだけた広い胸板に私を閉じ込める。

「おはよう」

「おはようございます」

耳元で囁かれる少し掠れた声。

おでこをチョンと顎で押されるとまだ瞼が重そうな彼の瞳と重なる。

どちらからともなく引き寄せられるように重なる唇に意識をもっていかれると

…シュルッ

「涼さん!?」

彼の右手は私の帯にほどいた。

「朝食の時間って言いましたよね?」

ほどいた手を私の小さな手で征す。

ズルいんだ。こういうときだけ拗ねた瞳をして私を見下ろして

「ダメ?」

「ダメです」

何を閃いたんだろう

「じゃあ…」

尖らしていた唇がニヤリと上がる。

「1つだけ言うこと聞いてくれたら我慢する」

「1つだけならいいですよ」

返事をすると帯を掴んだままの彼の手が外れた。

「忘れるなよ」

このとき約束を交わしたことを後に私は後悔することになるのであーる。

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