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オキナグサ

第1章 ミホ



「……ん……」


今、何時……?

スマホ
スマホ

あった


うわ、もう10時じゃん
ちょっと寝過ぎ……


「って、あれ……?」


アサヒさんがいない

昨日は隣で寝てた筈なのに


「……ぁ、置き手紙はっけ……ふぁ」


大っきい独り言の途中に大っきい欠伸しちゃった


『チェックアウトは12時までだから、ゆっくり寝ていて下さい。先に出ます。朝陽』


チェックアウトの時間とか
その下に書いてあるメアドとか電話番号とかはいいんだけど

なんだこの『朝陽』って


アサヨウ?
チョウヨウ?


「あ、わかった。アサヒ、か」


サイトで来たメールは『アサヒ』だったのに
ってことは


「ぶふっ……はは、これ本名じゃないの?」


そっかそっか
初めてだったんだもんね

にしても、最近匿名性のSNSとか流行ってんのにさぁ

慣れてなさすぎるでしょ
そんなに年なわけでもなさそうだったのに


「くっ……ふ、ふふふ……」


だめだ

笑っちゃうの止まんない


ていうかアレかな
連絡先書いてあるってことは、俺とのセックス良かったってことかな

また連絡しろってこと?


ま、するかわかんないけど


とりあえずチェックアウトまで寝よう

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