
甘美な吸血〜貴方の餌になりたい〜
第3章 似てる人
「お待たせ致しました。」
「あぁ。アイス珈琲を1つ。シロップもミルクもいらないよ。」
低く渋いこの声に、私の体がピクッと反応した。
私はこの声を聞いた事がある。
そうあの日。
私の耳元に甘く囁かれたあの声。
忘れるわけがない!
私はオーダーの返事もせずに、その男性のお客様の顔を、ジッと見つめてしまった。
似ている…。
髪はグレーではなく、黒いが長さは同じくらい。
瞳は、紅くはなく茶色がかった色をしてる。
でもでも、すごく似ているのだ。
こんな綺麗な顔、そうそう似ている人なんていないはずだ。
