
甘美な吸血〜貴方の餌になりたい〜
第3章 似てる人
「僕の顔に何かついてる?」
そう言われて、ハッとする。
「あっ!ごめんなさい。お客様に似ている人と先日お会いしたので。」
「そうなんだ。君とその人は、どういう関係なの?」
「偶然、一度お会いしただけで何も知らない方です。あっ、すみません。お客様にこんな話…。」
「いや、構わないよ。僕が君に聞いたんだしね。」
そう言って優しく微笑むその人は、あの日の彼によく似てはいるが、雰囲気は全然違っていた。
あの妖艶な雰囲気はない。
イケメンで優しそうな雰囲気。
やっぱり似てるだけで、違う人だ。
あの日の彼でないと、確信して、私は少しガッカリしていた。
