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甘美な吸血〜貴方の餌になりたい〜

第3章 似てる人


「君は、その人にまた会いたいと思ってるんだね。顔に出てるよ。」

「えっ?」

「素直で可愛いね。」


そう言った彼は、クスッと優しく笑って、私の頬をそっと撫でた。


「その彼にまた、会えるといいね。」

「あっ…ありがとうございます。失礼しました。ごゆっくりして行ってください。」

「あぁ、そうさせてもらうよ。」


彼にお辞儀をして、私は席を離れる。

彼に触られた頬は、すごく熱かったけど、彼の手はすごく冷たかった。

人間の手とは思えないくらいに冷たい手をしていた。

海で逢ったあの人も、同じように冷たい手だった。


彼にもう一度会いたい。

冷たい彼の手を思い出しながら、私はまた体が疼いていくのを感じていた。


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