
貴方がいつもそこに居てくれたから…
第4章 参
今日は珍しく、昼間だと言うのに櫻井さんが居た。
大野さんの話だと、時々こうして午後から帰って来る事があるらしい。
結構忙しそうだと言うイメージがあったんだけど…
暇ではないけど、前よりはかなり時間には余裕と融通が利くんだとか。
大野「今じゃあの頃の熱い翔は居ないんだよ…」
「………」
櫻井「………」
大野「な?…何も返せねぇだろ?」
「いえ、あの…」
大野「いいけどね?…飽きたならそれはそれで」
櫻井「……ふざけんなよ。…黙って聞いてりゃ。謝ったろ?何だっていつまでも引き摺ってんだよ」
これは…ちょっと…
ヤバい展開なのでは…?
この二人でも、喧嘩するなんて事あるんだ…
そう思ってしまうくらい、何だか二人の間に険悪な空気が流れてる。
ハラハラする僕を他所に、険しい顔の二人が小さく睨み合っていた。
「あの…お二人とも…ちょっと、落ち着きましょ?」
大野「………」
櫻井「…悪かったって。最近ちょっと忙しかったって…言い訳だよな?…ごめん智」
ん?
何だか櫻井さんの話はお見合いの事じゃなさそうな気がするけど…
忙しかった…?
確かに、少し前まで相葉さんも忙しかったのか帰りもずっと遅くて、日付を跨ぐ事が多かった。
相葉さんがそうだったって事は、櫻井さんならもっと忙しかったのかもしれない。
大野「……ごめん。…言い過ぎた」
そう呟いた大野さんは、眉を垂らし情けない表情で。
いつも見る穏やかな柔らかい雰囲気はなく、初めて頼りなさ気な表情を見た。
そのまま、大野さんは奥の部屋に入ったっきり戻ってくる事はなかった。
櫻井「…ごめんな?何か、気まずくさせちゃって…」
「いえ、そんな事はないですけど…大丈夫ですか?大野さん」
櫻井「ふふ(笑)大丈夫。……ずっとここ何週間か…忙しくて帰って来れなかったんだ」
「…え?そこまで、だったんですか?」
櫻井「うん。最初は電話して帰れないって連絡入れてたんだけど、それが電話からメールになって…一週間くらい連絡も出来なかった……いや、しなかった」
「しなかった?」
櫻井「分かってくれてるだろうって、甘えだよ。俺の」
忙しさにかこつけて、連絡を怠った。
大野さんにしてみたら、それは当然淋しい事で。
櫻井さんは信じてくれてる大野さんに、甘え切っていたんだと物凄く反省している様だった。
